2012年12月20日

ローソク足と酒田新値

ちょっと前にTwitterでこんなことをつぶやいていました。

この時のMACDの認識はちょっと違っていたのですが、今はそれは置いておいてこれを機にローソク足を勉強していました。勉強したのはフォロワーのスーパートレーダーの方からご紹介いただいた下記の本。私自身、米どころ出身で酒田も近いことから、ビビッときて即買い。



この本によると、ローソク足を用いた酒田罫線法は、
  1. 時間の経過を重視
  2. 特に寄付きと大引け。しかし場合によってはヒゲが重視される。
  3. すなわち、視覚的な感覚に頼る。
  4. しかし、あまりに細かい動きは無視し、あくまでも、寄付き、高値、安値、大引け、の四つの値、または、これらのうちから、グラフにあらわれた値を重視する。
  5. 強い線、弱い線、というよりも、過去形にして、強かった線、弱かった線、として考える。
  6. すなわち、罫線をあくまでも未来を的確に指示するものとしてでなく、過去を概念的に、それも現在に一番近い時点において把握する方式が酒田罫線法である。
とあります。また、酒田罫線法の特色を以下のようにあげていました。
  1. 日足であること
  2. 陰陽の箱足の描き方をすること
  3. 線の組み合わせで相場の強弱を判断すること
  4. 陽線新値・陰線新値などいわゆる酒田新値の数え方を伴っていること
  5. 酒田新値による売買法(建て玉法)を用いること
  6. 一般に言う<大勢の見方>が欠けていること
  7. 値の予測がまったくないこと
なんとダウ理論と全く逆の考え方。この文章を読んだときはかなり衝撃を受けました。トレンドはフレンド、トレードにおいては大きな流れに着目するべきだと思ってたのですが、全く逆の考えもあるものなんだと思いました。そして、やはりローソク足に着目して良かったと思いました。この本をご紹介してくださったこーじさん、本当にありがとうございました。ここでも改めて感謝します。

特色の4、5に、酒田新値という言葉がでてきました。ローソク足を用いたトレードでは酒田五法が有名で、ローソク足の形からパターンマッチングをすることを紹介しているブログなどが多いですが、酒田罫線法においてはそれは単なるおまけで、ローソク足の本質は酒田新値にあります。

それでは、酒田新値とは何なのか、下記の2012年12月20日現在のEUR/USD5分足チャートを用いて具体的に数えてみたいと思います。


左側の点線までさかのぼって考えます。私の場合、5分足の場合は4時間分さかのぼるようにしています。1付近の陰線がこの点線まででの最安値でここを基準に新高値を数えていきます。新高値というのは、基準点から高値を更新する陽線のローソク足のことです。値はローソク足の終値を用います。始値、高値、安値は用いません。また、始値と終値が等しい十字線も用いません。また、どこから数えるか、という基準点の設定も人それぞれだと思います。書籍には具体的な基準点の設定方法は記載していませんでした。

図において、4までは順調に新高値が増えていきますが、4と5の間の2本の陽線は高値を更新していないので新高値には含まれません。そして、図では現在新高値の数は9まで増加しているのがわかります。その後、逆行する陰線が3本出ているのがわかります。1付近の陰線がこのチャートの最安値ですので、私の場合、ここを超えない限りは新高値の数をクリアしないようにしています。

例えば、この後、新高値の更新が止まり、逆行する陰線の数がだんだんと増えていくと、新高値9個に対して陰線の数が追いついていき、レンジ突入になった、と判断することができます。そして、ついに最安値をわった場合、新高値の数をクリアして、上げ相場から下げ相場へ転換した、と判断することができます。


書籍「定本酒田罫線法」での酒田新値の検証では、小豆相場の日足で統計を取っていたのですが、FXでも通用するのか気になったので自分で調べてみることにしました。といっても、人力で数える気にはなれないのでプログラムに数えさせようと思いました。

上げ相場か下げ相場かを決める新高値、新安値と上げ相場下げ相場中で逆行したときの数を調べるために逆行中の新高値、新安値を数えました。為替相場で究極資産運用 酒田新値の数え方などで紹介されている数え方は、前者の数え方です。いずれも新高値自体の数え方自体は同じで、数を0に戻すタイミングが違うだけです。また、今回の検証は、主方向を決める新高値新安値は、一定期間内の最高値、最安値を更新したときに値を0に戻すようにしています。

酒田新値を検証したプログラムの仕様を下記に示します。プログラムを日本語におこしただけなので少しわかりずらいです。これは読み飛ばしてもらって構いません。
  1. MT4でエクスポートしたCSVファイルから1行読み込む
  2. 始値 - 終値で陰陽を調べる。この時、値が0なら「どちらでもない」とする。
  3. 過去のデータから最高値と最安値を調べる。調べる本数は1分足で60本、5分足で48本、15分足で96本、30分足で48本、1時間足で24本、4時間足で30本、日足で30本とする。
  4. 現在までの新高値の数と新安値の数を比較して、上げ相場か下げ相場を決める。
  5. 陽線のとき、
    1. 現在の足の終値が今までの逆行新高値より高い場合、その終値を逆行新高値とする。また、逆行新高値の数を1つ増やす。
    2.  現在の足の終値が今までの新高値より高い場合で、上げ相場の場合、現在まで数えた逆行新安値の数を統計に反映して逆行新安値の数を0に戻す。
    3. 現在の足の終値が今までの新高値より高い場合、その終値を新高値とする。また、新高値の数を1つ増やす。
    4. 現在の足の終値が最高値より高い場合、逆行新安値を新しい新安値とする。また、新安値の数を0に戻す。
  6. 陰線のとき、
    1. 現在の足の終値が今までの逆行新安値より安い場合、その終値を逆行新安値とする。また、逆行新安値の数を1つ増やす。
    2. 現在の足の終値が今までの新安値より安い場合で、下げ相場の場合、現在まで数えた逆行新高値の数を統計に反映して逆行新高値の数を0に戻す。
    3. 現在の足の終値が今までの新安値より安い場合、その終値を新安値とする。また、新安値の数を1つ増やす。
    4. 現在の足の終値が最安値より安い場合、逆行新高値を新しい新高値とする。また、新高値の数を0に戻す。
  7. CSVファイルの終わりじゃない場合、1に戻る。

下記に数えるイメージも載せておきます。上記の仕様そのままではないのですが、なんとなくイメージはつかんでもらえるかと思います。下記の図では、新安値更新の数が新高値更新の数を上回っていて、下げ相場にある状態です。


上記の仕様のプログラムで上げ相場、下げ相場を定義し、その中で逆行する新安値、新高値を数え、表にしたものを下記に示します。通貨ペアはユーロドル、期間は5分足を用いました。本と同じく、3本連続逆行するものまででなんと9割を占めることがわかりました。逆行後に出てくる陽線のpipsの平均こそ変わりましたが、ユーロドルの15分足、ドル円の5分足、15分足でも同じ結果が得られました。これは、ギャンブラーの誤謬をローソク足に織り込んでいることの表れなんじゃないか、と思いました。



この統計的優位性はきっと何かに使えるはず...と思って色々EAを作っていたのですが、結局うまくいきませんでした。統計と違って実際はどうトレードするか、を考えなくてはいけなくて、そうそう簡単には勝てない仕組みになっているのだな、と痛感しました。相場の神様は本当にいるのでは、とも思いました。

しかしながら、EAこそできませんでしたが、ローソク足の本質、酒田新値で新値更新を数えることでより優位な位置でエントリー、クローズができるようになりました。また、その名のローソクのとおり、その局面での足場を照らしてくれて、自分を見失うことがなくなったように思います。


最後に、もういちどローソク足と酒田新値の本質を一言。

「ローソク足と酒田新値は、その局面の売り買いの勢力を測るものである。」

せっかく表示しているのだから、ローソク足と酒田新値、是非お勧めします。酒田新値を数えるインジも合わせて公開しようと思っていましたが、動作の正確性が微妙なのと、カウント値のヒストグラム化、サポート体制を整えようと思い、今回は見合わせました。こちらの方はいつになるかわからないので期待しないでくださいw

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして。
酒田罫線のインジケータを探していたら、こちらのページを発見し拝見させていただきました。
もし出来れば酒田新田値をカウントするインジケータを公開していただけませんか。

匿名 さんのコメント...

>>4.現在までの新高値の数と新安値の数を比較して、上げ相場か下げ相場を決める。
の部分を具体的に教えていただけませんか?

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